<演奏スタイル>

 4人編成で中心のボーカルリストが2人いるというスタイルが魅力です。曲によってリンゴ以外の3人が2本のマイクに向かって入れ替わりにコーラスをつけるスタイルがビートルズの本当のスタイルです。ジョンとポールという個性や声質の全く異なった2人が曲によってリードヴォーカルを取り合うスタイルが魅力なのです。当時の「ローリングストーンズ」や「フェイセス」や「アニマルズ」のようにボーカリストが固定しているグループとは全く違います。

 曲によってリードヴォーカルが代わるグループは他にもありました。ラスカルズやホリーズやビージーズなども曲によってヴォーカルが変わるスタイルでした。その後、CSN&Yなどこの形式をとっているグループがたくさん出てきました。ただし、ビートルズの場合は全く違い、曲によってリードヴォーカルが入れ替わったり、コーラスが入れ替わったりします。「ハードデイズナイト」のように初めジョンがヴォーカルをとっていて、サビの部分でポールに入れ替わるのという曲もあります。

当時はモニターシステムが不完全で、大会場ではメンバーの歌声は聴き取りづらかったと思われます。そのため二重唱のようなナンバーはお互いの声が聴きとれるように二人で1本のマイクに向かって歌っていたのだと想像しています。日本公演の「ベイビーズインブラック」がこのスタイルでした。

白井康則