河合祥一郎氏の「新訳 ハムレット」(角川文庫 2003年)では、訳者あとがきに “To be, or not to be, that is the question.” についての、1874年から2003年までの43の日本語訳が紹介されています。とても興味深いものです。「存ふか、存へぬか、それが疑問ぢゃ」坪内逍遥(1907年 本邦初演)など。巷間言われる「生きるべきか、死ぬべきか、それが問題だ」はそれまで、そう訳されたことは無いことが判ります。河合氏は、観客が最も受け入れやすいこの訳を初めて(!) 43番目として採用したとのことです。先ごろ、ゼレンスキー大統領が演説でこの一節を引用した際に、これをどう訳すかが新聞で取り沙汰されていました。 戯曲の翻訳とは異なり、政治的な意図が盛り込まれるので問題は別なのですが、興味深く読みました。 篠宮正樹
翻訳
2022年05月18日14:55
2022年05月17日12:04
外国小説の翻訳の名人がたくさんおられます。翻訳とはいわば新たな文学の創造のようです。同じものを翻訳しても、人によっての用語の選び方やほかの様々な工夫は、興味深く思います。私どもは最新の医学知識を市民に伝えることを役目と考えて活動しています。これも一種の翻訳と言うとおこがましいのですが、市民にわかりやすくその趣旨を伝えると言う意味でかなり創造の部分があると考えます。そしてそれを市民が自らの知識とし行動のもとにしてもらえれば嬉しく思います。そのために、手に取って読んでもらえる工夫をこれからも重ねたいと思います。 篠宮正樹