<曲について>
なんといってもビートルズの最大の魅力は自作曲の良さにあります。 1965年以前はジョンが傑出しており、1966年以降はポールが中心になっています。驚くべきことはデビューする前からかなりの名曲を書いていたことです。ハンブルグ時代のライヴアルバムには既にビートルズのファーストアルバムに入っている名曲を演奏しています。ビートルズの名曲ベスト10に入ると思われる「アスクミーホワイ」などがその例です。
さらにデビューしたての頃に他の有名な歌手のために曲を書いていることからも彼らの曲作りの手腕が感じられます。最も有名なのはピーター&ゴードンに書いた「愛なき世界」ですが、普通のグループであったらこのような傑作を自分たちで録音しないのはもったいないと思うことでしょうね。名曲「ノーリプライ」も初めは他人に書いた曲です。さらにファーストアルバムに入っている「ミズリー」もはじめは「悲しき片思い」などで当時日本でも人気があったヘレンシャピロに書いた曲です。何とヘレンシャピロの事務所は当時駆け出しのビートルズが作った曲のレコーディングを断ったそうです。現代においてもこれだけの名曲をコンスタントに書いていたグループは見当たりません。
白井康則