池谷裕二氏の近著『寝る脳は風邪をひかない』(扶桑社 2020年 税込1840円)で、米国タフツ大学のアヤナ・トーマス博士の報告が紹介されています。20歳前後の若者と70歳前後の年者を64人ずつ集めたテストです。単語リストを覚えたのちに、別の単語リストを見て、元のリストにあった単語を言い当てます。試験前に「この試験は、高齢者の方が成績が悪い」とアナウンスしたところ、若者の正解率は50点で、年輩者は30点でした。ところが、「これはただの心理学の試験です」と説明しただけだと、結果はともに50点でした。歳をとると記憶力が低下する理由は、なんと本人の思い込みだそうです。

 私はこのテストで、若者に「この試験は若者で成績が悪い」と説明したらどうなったかを知りたかったですけどね。もう歳をとったからダメという思い込みは無用なのです。  篠宮正樹